シラ書には「聡明な人は皆、知恵を知っており、/知恵を見いだした人に敬意を払う」とあります。この「知恵」とは人間的な知恵のことではなく旧約聖書的に考えると神の知恵(箴言8:22-31参照)であり、ヨハネ福音書的に考えるとロゴスを意味します(1:1)。つまり神様やイエス様を理解している人が聡明であるということです。
イエス様は「互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる」と言われました(13:35)。シラ書を踏まえるなら「互いに愛し合う」という教えは神様の知恵でありロゴスでもあります。それを知っている聡明な人は隣人愛の実践に努める人であると言えるでしょう。
そのような人を通じて互いに愛し合うことが広がるのです。隣人愛は神様やイエス様の御心です。であればこの御心を「皆が知るようになる」こと、即ち、「知恵を見いだした人」同志が敬意を払い合うようになることをイエス様は望まれているのでしょう。
シラ書の「見いだした」をヘブライ語に訳するとイザヤの預言が思い起こされます(イザヤ55:6)。このことを次回に考えてみましょう。