主日の福音

【聖ペトロ 聖パウロ マタイ16:13-19】

イエス様は弟子たちに「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか」と問われますが(マタイ16:15b;マルコ8:29b;ルカ9:20b)、ここまでは共観福音書間で共通しています。この問いに対するペトロの答えはマタイでは「あなたはメシア、生ける神の子です」(16:16)、マルコでは「あなたは、メシアです」(8:29d)、ルカでは「神からのメシアです」(9:20d)、と微妙に異なっています。比較してみるとマタイにのみ「神の子」という言葉が見られることからホセアの預言が思い出されます。そこには、

イスラエルの人々は、その数を増し/海の砂のようになり/量ることも、数えることもできなくなる。彼らは/「あなたたちは、ロ・アンミ(わが民でない者)」と/言われるかわりに/「生ける神の子ら」と言われるようになる(ホセア2:1)。

とあります。この神様の約束の言葉を踏まえ(創世記26:24参照)、ペトロは「神の子」と口にしたと考えられます。であればイエス様はアブラハムの信仰を受け継いだ者の一人であり、神様がアブラハムに約束さたようにイエス様を信じる弟子たちが増えていくということが織り込まれている考えられます。

(注)ルカ福音書に特徴的な「安息日に、腰の曲がった夫人を癒す」「金持ちとラザロ」「徴税人とザアカイ」と小見出しが付けられた話の中でアブラハムが出てくる(13:16; 16:22; 19:9等)。こうしたことから福音記者ルカは父祖であるアブラハムとの関係を重視しているように思えます。

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