主日の福音

【年間第十四主日 ルカ10:1-12, 17-20 その4】

狼たちがいる「荒れ野」はルカ福音書に於いて福音や神の真(まこと)の教えが伝わる以前を象徴する言葉であると考えられます。であればイエス様が語られた「狼の群れに小羊を送り込むようなものだ」とは御自身に代って“弟子であるお前たちが新たに宣教を始めなさい”といった聖書的意味合いが込められていると考えることもできるでしょう(10:3c)。つまり宣教の困難さや危険性を語っているに留(とど)まらないということです。そこには福音の広がりという希望を織り込んでいるとも言えるかも知れません。

因(ちな)みにエレミヤの預言には引用したように「それゆえ、森の獅子が彼らを襲い/荒れ地の狼が彼らを荒らし尽くす。豹が町々をねらい/出て来る者を皆、餌食とする。彼らは背きを重ね/その背信が甚だしいからだ」とあります(エレミヤ5:6)。留意したいことはこの節の前には『「背信の子らよ、立ち帰れ。わたしは背いたお前たちをいやす。」「我々はあなたのもとに参ります。あなたこそ我々の主なる神です。」』といった対話句のようなものがあることです(エレミヤ3:22)。次回はこの節を踏まえ今週の解説をまとめたいと思います。

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