主日の福音

【年間第十五主日 ルカ10:25-37 その4】

引用したサムエル記と今日の福音はどのような関係があるのでしょうか。イエス様を試そうとした律法学者は自分を正当化しようとしてイエス様に「わたしの隣人とはだれですか」と尋ねたとあります(10:29)。自分を正当化しようとした点はサウルも同じです。サウルは戦利品に目がくらみ自分の欲を神様の指示に先立てました。サムエルはサウルに「何故あなたは、主の御声に聞き従わず、戦利品を得ようと飛びかかり、主の目に悪とされることを行ったのか」と問うたところ(Ⅰサムエル15:19)、サウルはサムエルに「わたしは主の御声に聞き従いました。主の御命令どおりに出陣して、アマレクの王アガグを引いて来ましたし、アマレクも滅ぼし尽くしました」と答えました(Ⅰサムエル15:20)。この遣(や)り取りと律法の専門家とイエス様との会話も似たようなものです。

イエス様は永遠の命を受け継ぐために書かれている律法の箇所を尋ねました。もちろん律法の専門家はそれを分かっていました。しかしそれは表面上のことであり、その律法の前提となる神様の御心を理解していなかったのです。言わば彼の模範解答は表面的に取り繕(つくろ)ったサウルと同じであると言えるのではないでしょうか。

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