主日の福音

【年間第十六主日ルカ10:38-42 その2】

次にイエス様が語られた「選んだ」という言葉は詩編を思い起こさせてくれます。そこには、

信仰の道をわたしは選び取りました/あなたの裁きにかなうものとなりますように(詩編119:30)。

とあります。詩編を踏まえるとマリアが「良い方を選んだ」とはマリアの信仰がそれに相応(ふさた)しい行いを積極的に選ばせたということでもあります。

 マリアはイエス様の「足もとに座って、その(イエス様の)話に聞き入っていた」とあります(10:39)。この「聞き入る」と訳される言葉は原語には“聞き従う”という意味があります。この言葉を現代的に考えてはなりません。イエス様の時代には識字率がかなり低かったはずです。つまり聞くことでしか教えを受けることや知識を得られなかったのですから、「聞き入る」とは単に“耳にする”ということだけではなく、“聞いて学ぶ”という意味が含まれていると考えられます。申命記などに見られる「聞け、イスラエル」から始まる祈りは「シェマ(聞け)の祈り」としてユダヤ人の中で尊ばれています(申命記6:4; 9:1;エゼキエル18:25;ホセア4:1; 5:1)。まさにマリアはイエス様の言葉を足もとで聞いて学んでいたのです。

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