最後にイエス様が語られた「取り上げてはならない」という表現ですが、これも箴言を思い起こさせてくれます。そこには、
そのように、魂にとって知恵は美味だと知れ。それを見いだすなら、確かに未来はある。あなたの希望が断たれることはない(箴言24:14)。
とあります。ここでの「断たれることはない」がそれにあたります。「美味」と訳された言葉が見られますが、原語では一般的に「良い」を意味し、マリアが選んだ「良い方」の「良い」の訳語でもあります。この箴言の箇所を踏まえるとイエス様がマリアに語っていたのは未来の希望であったと考えられます。その希望とはイエス様の御言葉を通じて見出されるものです。また、その希望は神の知恵であり、来るべき神の国のことであったと考えられます。箴言を踏まえればイエス様は天地創造の前から神様と共におられる人格化した知恵でもあります(箴言8:22-31参照)。であれば神の国が実現する時の希望を取り上げてはならないということをイエス様は言葉の裏でマルタに諭されたのではないでしょうか。イエス様がマルタに語られたように御言葉に聞き従おうとするのであれば救いの希望は断ち切られることはないのです。
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