主日の福音

特別編【聖母被昇天ルカ1:39-56】

マリア様は「飢えた人を良い物で満たし」と言われました(1:53a)。ここで「飢えた」をヘブライ語に訳すると動詞と形容詞での表現があります。まずは動詞で考えると詩編が思い起こされます。そこには、

若獅子は獲物がなくて飢えても/主に求める人には良いものの欠けることがない(詩篇34:11)。

とあります。ここで「若獅子」とありますが七十人訳聖書を見るとここは「金持ち」と訳されています。これを踏まえるとマリア様は単に飢えた者のことを言っているのではなく、貧しい者が必要なものを主に願い求めるのであればそれに事欠くことはないということを言われていると考えられます。実にマリア様が「良い物」と言われた言葉は引用した詩編での「良いもの」をギリシア語に訳したものでもあります。

次に形容詞で考えるとやはり詩編に行き着きます。そこには、

主は渇いた魂を飽かせ/飢えた魂を良いもので満たしてくださった(詩篇107:9)。

とあります。これを踏まえとマリア様が言われる「飢え」とは身体的なことだけではなく、霊的なものでもあることが分かります。つまり主なる神にあって人は身も心もすべてが満たされるということではないでしょうか。

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