イエス様は「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る」(14:23b)、「わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない」と言われました(14:24b)。ここで「愛する」は“命懸けで愛する”を意味するアガオパオーが共通して使われています。これに続く「言葉」もヨハネ福音書の冒頭に出てくる“ロゴス”が使われています。ロゴスが使われているということは単なる「言葉」のことではなく、“神の理(ことわり)”といったことが意味されていると言えるでしょう。対してそれぞれの結びとしての「守る」は原語では異なる単語が使われています。前半では福音書の中で一度しか見られない言葉が使われているものの、後半では福音書の中でも何度も見られる言葉が使われています。この違いから「わたしの言葉を守る」は殊更強調されていることが分かります。何が強調されているのかを知るためにこの語に相当するヘブライ語を求めたいところですが見当たりません。こうしたことからこの言葉を新約聖書外典に求めると知恵の書に行き着きます(知恵6:18-19)。次回はあまり馴染みのない『知恵の書』の言葉を踏まえて考えてみましょう。
主日の福音