主日の福音

【復活節第六主日ヨハネ14:23-29 その2】

知恵の書には、

教訓に心を配ることは知恵への愛である。この愛は知恵の命じる掟を守ることである。掟を守ることは不滅を保障し、不滅は人を神に近づける(知恵6:18-19)。

とあります。この「知恵」にイエス様を読み込めるのですが、その理由を箴言に見出せます。「知恵」とは人間的な知恵のことではなく、創造以前から神様の傍らにあった天的な存在のことです(箴言8:22-31参照)。それは天地創造に先立ち、神様の傍らで戯れる伴侶として人格化されることもあります(箴言1-9章参照)。知恵はヘブライ語でもギリシャ語でも女性名詞です。箴言を踏襲するのなら知恵が受肉するべきなのですが、イエス様は男性ですので男性名詞の「言(ロゴス)」が使われたと考えられます。こうしたことからヨハネ福音書を考えるにあたって知恵とイエス様を同視できるのです。引用した知恵の書を踏まえるとイエス様は御自分を愛し、御自分が与える掟を守るのであればその人は不滅となり、復活の命が保証され、神様に近づけるということを語られていると考えられます。その結果が「わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む」ことになると表現されているのでしょう(14:23b)。

TOP