聖書を読むにあたって

【福音書を読む前提として-1】

1)聖書は何に書かれたのか

聖書を読むにあたり聖書はどのような物にどのようにして書かれたのかということを考えなければなりません。このことを除いては聖書の深みを読み解くことはできないでしょう。実に聖書を書くことは現代のそれとはまったく異なるのです。本来の聖書はパピルスや羊皮紙に書かれていたということは良く知られています。このことは情報を知っているのであり、理解していることを意味しません。そもそもパピルスとは何でしょうか。パピルスの原材料は植物であり、その主産地はエジプトでした。このため紀元前3000年頃には古代エジプトで使われていたと言われています。確かに一時代に於いては大量のパピルスが作られ、記録用に用いられたことが様々な発見から知られています。しかしパピルスが安価なものではなかったことは容易に想像できます。それゆえ書き古しのパピルスの余白や裏面が使われたり、使用済みの物に刻まれた文字を削ぎ落し、新たに文字を刻むこともあったと言われています。また大きさや品質の異なるパピルスを貼り合わせたり、それを長い巻物にしたと考えられています。このようなパピルスに「文字を書いた」という表現は妥当ではないでしょう。おそらく釘のようなもので刻み込んだに違いありません。

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