主日の福音

特別編【聖母被昇天ルカ1:39-56 その2】

マリア様は「富める者を空腹のまま追い返されます」と言われました(1:53b)。ここで「富める」を考えると箴言が思い起こされます。そこには、

富むことにはやる者は罰せられずには済まない(箴言28:20b)。

とあります。原語では神様を差し置いてお金に執着する者は無罪にはならないと表現されています。つまり富に執着する者は罰せられるべき罪人なのです。また「空腹のままで」をヘブライ語で考えると詩編が思い起こされますそこには、

わたしに追い迫る者の前に/槍を構えて立ちふさがってください。どうか、わたしの魂に言ってください/「お前を救おう」と(詩編35:3)。

とあります。ここで原語では“空にする”を意味する言葉が七十人訳聖書でも「(槍を)構えて立ちふさがってください」と訳されています。これを踏まえると「空腹のまま(で追い返す)」とは文字通りの意味だけではなく、“神様の御旨に真っ向から反する”といった意味合いがあると思われます。つまり過度に財産に執着することは神様の御旨に槍を持って敵対するかのようなことでもあるということでしょう。またそれは豊かな者が貧しい者を一顧だにしていなかった当時の実情を反映しているのかも知れません。

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