When Jesus had received the vinegar, he said, “It is finished”; and he bowed his head and gave up his spirit.(John 19:30 RSV)
イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。(ヨハネ19章30節 新共同訳)
Easter(復活祭)に先立つ受難週の金曜日、今年2025年の場合ですと4月18日は「聖金曜日」で、英語では通常Good Fridayと呼ばれています。Oxford English DictionaryによるとGood Fridayとは”The Friday before Easter-day, observed as the anniversary of the death of Christ” (イースターの前の金曜日、キリストの死の記念日である―私訳)です。
Good Fridayにはイエスの受難と十字架上での死を記念する日として、十字架の勝利を称える典礼が執行されますが、聖体拝領(聖餐式)は行われません(『岩波キリスト教辞典』p.634)。4世紀末(381~384年頃)にスペイン出身の修道女エゲリアが記した『巡礼記』によると、当時、ゴルゴタの聖墳墓聖堂で午前中には「聖十字架の礼拝」が守られ、正午からは新旧約聖書から抜粋された箇所、更に午後3時にはヨハネによる福音書19章17~37節が朗読されたとのことです(同上)
紀元後2~3世紀頃にはこの日を復活祭の前に断食を守る日とすることが始まっていたようですが、Lent(四旬節)のスタートとなるAsh Wednesday(灰の水曜日)とこのGood FridayにはFasting(断食)が行われます。もっとも、断食といっても完全に食を絶つということではなく、一日一回だけ十分なと肉類を食事を摂り後は朝とわずかの食事にするFast(大斎; 満18歳~60歳の成人信徒が対象)と肉類を食べないAbstinence(小斎; 満14歳以上の信徒がいず対象)が守られます。但し、病者や妊娠中の女性はいずれも免除されます。
考えてみると、イエスが最も残酷な処刑方法の一つである十字架刑で無残な最期を遂げた日がGood Friday(良い金曜日)と呼ばれるのには少し違和感を感じますね。むしろ「受苦日」や「受難日」の方が相応しいような気がします。しかし、「十字架はただの苦しみに終わりはしない。産みの苦しみであり、新たないのちを産む苦しみであり、喜びの伴う苦しみ」(雨宮慧『主日の福音C年』p.102)であるからこそ、この日は十字架の勝利を称えるGood Fridayとなるのです。